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BONSAIちえ

豆松屋山崎ちえの盆栽日記

3月の盆栽のお手入れ『植え替え』

3月に入って日差しも気温も暖かくなり、新芽が動いてきました。
いよいよ本格的に植え替えシーズン突入です。

植え替えは、「遅いより早い方がいい」と言われています。
これは、植え替え時期のことで、もう葉が広がってしまった頃に植え替えするよりは、芽が動きはじめたかどうかくらいの早めの方がいいということです。
葉が広がって水の吸い上げスピードが早く、しかも新芽の柔らかい時に根を切ると、水の吸い上げが悪くなり、新芽が傷んでしまうからです。
なので、植え替え作業は、なるべく早い時期から一つ一つを素早く行い、葉が広がる前にやり切りましょう。
でももし植え替え作業が間に合わなかったら、6月頃に葉刈りして植え替えることもできるので焦りすぎないでくださいね(^^)。

植え替え適期の見極め方

ツイッターでも書いてる通り、植え替え適期は「芽が動きはじめた頃」か「白根が出ている頃」。
樹種や環境によってタイミングが違うので、よく盆栽を見ながら判断します。
逆に言うと、樹の様子をしっかり見ていれば、HOW TO本に書いてある植え替え時期を暗記せずとも植え替え時期がわかるようになります。
「樹種がたくさんあって覚えきれないよ〜」と私も思ってましたが、樹の様子を見ていればいいだけなので、実はシンプルなのです。

植え替えの大まかな時期

ざっくりと植え替え時期を言えば、
3月は雑木類(葉もの、花実もの盆栽)、4月は松柏類と常緑広葉樹(暖地性のもの)です。
でも、芽出しの遅いケヤキは4月頃になりますので、一つ一つをよく見て判断することになります。
その他、常緑広葉樹のクチナシやチリメンカズラ、ツバキなどは「早い方がいい論理」からは除外して、暖かくなるまでしっかり待ってください。特に寒さに弱いキンズは5月に入ってからが良いです。

植え替え手順

自分の手元を撮影できないので、以前、親方のやまと園の広瀬先生に撮らせていただいた写真でご紹介。せっかくなので普通の紙面ではできないほど細かく載せます。

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紫式部のミニ盆栽。芽ふくらみ動いてきていて、植え替え適期です。

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まずは、鉢と樹を固定している針金や底網を固定している針金を、針金切りで切って外します。

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鉢の形になる程、根がビッシリと張っています。このように根がつまって水通りが悪くなったら植え替えサインです。

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ピンセットや、根かき(レーキ)で根をほぐします。

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根を切ります。ハサミは剪定用と根切り用の2本使いにしてくださいね。土で刃が傷みますので。

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鉢より一回り小さく根を切り、新しく土が入るスペースがあることを確認。

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鉢の汚れを雑巾やブラシで落とします。

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まずは底網の固定。鳥居型の針金を作るとしっかり固定できます。慣れないうちは「U字型」でOK。

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底網の上から鳥居の針金を入れます。

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針金を引っ張りながら鉢底に押し付け、余分な長い針金は切ります。

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針金の先をくるっとしておくとよりgood。底網がグラグラ動かないようにしっかり固定することが大事。

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底に赤玉土を入れ、その上に樹を乗せます。雑木類は赤玉土単体でもOK。鉢が小さいものは、粒の小さな赤玉土を使います。

 

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樹を固定する針金を鉢底穴から入れます。1.2〜1.5mmのアルミ線を樹の大きさに合わせて使います。

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上に出た針金をかぎ針型にして、根に引っ掛けます。

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底側の針金を引っ張りながら鉢底に押し付け、余分な針金は切ります。この固定の針金を対角線上に2ヶ所以上とめます。

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土を足し入れ、ピンセットや竹串でついて隙間がないようにしっかり入れます。

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水をやります。

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土が流出しないよう、ネットで表面を覆います。水苔や普通のコケでもOK。このひと手間をやっておくと水やりが楽になります。ネットや水苔は6月には取ります。

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屋外で芽が動いたものは、植え替え後も屋外の棚上へ。冬期保護施設や室内で芽吹いたものは、葉がやわらかいうちは寒風を避けられる場所に。

たくさん作業があって焦ってしまいますが、根が乾かないように気をつけてくださいね。鉢の準備で時間がかかりそうな時は、濡れタオルを根にまいて保護しておきます。

そして、一番大切なのは樹の固定。しっかりと針金で固定しないとグラグラして根が張れません。
樹の固定方法は、写真のやり方の他に、鉢底穴から通しておいた長い針金で根をしばり、やっとこで絞っていく方法もありますね。

キミさんのページもとっても参考になります。キミさんの固定方法は、長い針金をやっとこで絞っていくやり方ですね。

bonsai.shinto-kimiko.com

 

ということで、しばらく植え替え作業に追われ、次第にモミジなどの芽が伸びて芽摘みにも追われてきます。
盆栽愛好家にとっての春は、超忙しい時期。
花粉症でくしゃみしながら、土で手があれながら、春を楽しみましょう!(^^)/