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BONSAIちえ

豆松屋山崎ちえの盆栽日記

黒松・赤松の芽切り

芽切りとは

放っておいたら伸びて大きくなりすぎる枝葉を、一度切って、新しく枝を出し直す作業。枝葉が短くなり、小枝を増やす効果もあります(短葉法とも呼ばれます)。

作業目安時期:6〜7月(7月末までには終わらせましょう)

  • 芽切りを行うには、4月から5.6.7月と芽切り作業の直前までたっぷりと肥料をあげて、力を蓄えておく事が大切です。
  • 元気がない場合は、芽切りを行いません。無理をすると、新しい芽「二番芽」が出ないことがあります。
  • 芽切りは、黒松や赤松に行います。五葉松は芽切りは行いませんので、ご注意ください。
  • 文人木など、細い幹を維持するために肥培をさせない場合は、「芽切り」よりも「芽つみ」のみにする事もあります。

 

芽切りのやり方

今年伸びた芽(6月には新しい葉が広がっている枝)を、古葉(昨年の葉)があるところまで切ります。

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  • ハサミの位置は、古葉の少し上。軸を少し残して切ります。
  • さらに、古葉を5本(2枚で1本)に減らします。古葉を残す数は、芽の伸びの強さにより加減し、下枝など芽の伸びが弱いところは、古葉を5本以上残してます。逆に上の方の枝は、芽がぐんぐん伸びて勢いが強いので、3本ほどにしてもOK。葉の量で、枝の勢いを平均化をねらいます。
  • 弱い芽は芽切りをせずにそのまま残します。私は、強い芽と弱い芽の芽切り時期をズラすことはせず、「切るか切らないか」の判断だけしてます。
  • 芽切り後は、肥料を外します。その後、二番芽の伸びに合わせて肥料を与えます。
  • 芽切り後は、日当たりの良い棚上で管理。水の乾きが鈍ったら、「乾いたらたっぷり」の基本通り水やりをします。でも正直、他のと同じ回数水やりしちゃってますけどね。

全ての枝が、同じくらい伸びていれば、悩まずにスパスパ切るだけなのですが、芽の伸びにバラツキがあるのが悩みどころ。後で作業例があります。一緒に悩みましょう😌。

 

作業時期

黒松、赤松の芽切りの時期は、樹の樹齢、大きさ、住む地域や気候により異なります。

横浜に住む私は、小品盆栽の黒松は7月から芽切りを行っています。大きいもの、樹齢の古いものからスタートし、小さいもの、芽の伸びが強いものは7月半ば以降に後回しにしています。

中品サイズや赤松は、早めの6月半ば〜7月半ばに行います。※小品盆栽サイズとは、樹高20センチほど。中品は樹高20〜60センチほどです。

寒冷地では、黒松の芽切りは6月頃から行わないと芽の伸びが足りないそうです。逆に、比較的暖かい地域では、大品でも7月に芽切りを行うそうです。

二番芽の伸び具合は、梅雨などの天候にも影響されます。毎年同じ月日に芽切りをしても、伸び方が違うこともあります。毎年悩む芽切り時期ですが、大体の方が「うちは7月15日」とか決めています。

初めての方は、とりあえず7月初旬に行うことをおすすめしています。早く行うほど、芽がしっかり伸びてくれますので。迷った時は、早めにトライ👍。

 

芽切りの判断

芽切りを行うには、十分に元気がついてるか様子を確認してください

古葉から新しい枝がびよんと伸び出していること、葉の色が濃い緑で、葉も長く伸びてる様子などで、元気があるかを判断します。

逆に、葉の色が黄色っぽいものは肥料不足です。また、芽がびよんと伸びていないものも元気不足です。

そうした、元気具合と大きさや樹齢によって芽切りのタイミングを判断します。

  • 古い樹は芽の伸びが遅いので、早めに。
  • 大きめの樹なら、葉が短すぎると格好悪いので、早めに。
  • 小さい樹は、枝も葉も短くしたいので、遅めに。
  • 元気の無い樹は、肥料を与えることを優先。芽切りは来年か、間に合いそうだったら行う。

f:id:bonsaichie:20200702221647j:imageこういう、肌が荒れてるような古い樹は、7月初旬に早めに行います。

f:id:bonsaichie:20200702204806j:imageこれくらい芽が伸びて元気があれば十分。若木で大体12センチくらいのサイズなので、7月半ば〜後半に芽切りしようと思います。

 

 

実践①

f:id:bonsaichie:20200702204225j:image f:id:bonsaichie:20200702204222j:image(作業日7/2)この黒松は植え替えが遅かったので、芽の伸びはイマイチです。でも、これくらいの伸び具合と葉の色の濃さだったら、大丈夫でしょう。

でも、この樹は、上の方は伸びてますが、下枝の伸びは足りません。こういう時は、イマイチな伸びの芽は切りません。伸びてる所だけ切ります。

f:id:bonsaichie:20200702205807j:imageまずは、伸びてる所は、芽切り。
f:id:bonsaichie:20200702220257j:image f:id:bonsaichie:20200702220254j:image古葉を5本残して、葉元で切ります。枝元側を減らし、切り口の周りに5本残る様にします。

f:id:bonsaichie:20200702220301j:image小さすぎる芽は、取ってしまってかまいません。でも、もし必要な場所から吹いた小さな芽があれば、それは大事に残しておきます。


f:id:bonsaichie:20200702220237j:image作業前の下枝。
f:id:bonsaichie:20200702220234j:image芽切り後の下枝。下枝は、そもそも力が乗りづらく、芽の伸びが悪いです。他と比べてあまり伸びてないなと思う芽だったら、芽切りせずに残しましょう。

f:id:bonsaichie:20200702220241j:image作業後。
f:id:bonsaichie:20200702220246j:image下枝アップ。

f:id:bonsaichie:20200702221334j:imageなんとなく芽の伸びに不安がある時は、肥料を置いておきます。本当は、二番芽の間伸びになるので、肥料は外します。

 

実践②

次は、芽の伸び具合の極端な例。木は上に伸びていく力は強いですから、頭部分の枝ばかり強くなります。下の枝は全然伸びていません。

f:id:bonsaichie:20200702224650j:image作業前。
f:id:bonsaichie:20200702224647j:image作業後。下枝は芽切りや古葉取りもせずに、そのまま伸ばします。枝は伸びるほどに太ります。また、葉が多いほど、力が乗ります。今後、うまく下枝が伸びてくれることを願います。

 

実践③

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たぶん30〜40年くらい経つ古い黒松です。7/2に芽切り作業をしました。

芽切りと同時に不要な枝も減らしました。下枝は、昨年は芽切りしなかったので、今年は芽切りしました。

今後の管理は、棚上でしっかり日に当てます。下枝など力をつけたい所には、鉢の角度を変えるなどして日が当たる様にします。

 

芽切り、結構悩みます。タイミングや、切るか切らないかの選択の繰り返しです。

でも、作業自体は、スパッと切るの楽しいです。手がマツヤニだらけになりますし。

あ、マツヤニ落とすには、メイク落としのオイルなどを手につけてしばらくこすると落ちます。

では、芽切り、楽しんでください😊悩んだら、写真かオンライン、もしくは教室でご相談ください。