葉刈りとは?
「葉刈り」って聞いたことありますか?
5〜6月にかけて旺盛に茂った葉を、思い切って全部刈り取る作業です。
(私は梅雨明けまでやってますので7月中旬まで)
「葉がせっかく出たのにかわいそう(>_<)」?
いえいえ、盆栽をかっこよく維持するのにマスターしたい作業です。
葉刈りの効果
- フトコロ芽の日当たり風通しを良くする
- 枝が太るのを防ぐ
- 二番芽の発芽により枝数を増やす
葉が茂り過ぎると、内側の枝葉まで日光や風が当たらずに弱ります。
内側の芽(フトコロ芽)が弱ると、枝元の枝がなくなり、間延びした姿に。
そして、日が当たる外側ばかり枝葉が伸びすぎると、枝が太ってゴツくなり、これまたかっこ悪い。
それを防ぐための「葉刈り」です。
さらに、葉刈り後に吹く新しい芽「二番芽」により枝数が増えるというプラス効果もあります。
とはいえ、葉刈りは樹にとって負担をかける作業ですから、心配なときはしなくても良いです。
盆栽を育て始めて2年目以降の方の、ステップアップ作業とお考えください。
いざ、葉刈り!
下の写真のモミジは葉刈り前。外側の葉が大きく、中まで日が入っていません。風通しも悪そう。
葉柄をハサミで切ります。残った葉柄はその後落ちるので、どれくらいの長さかは気にしなくてOK。
葉刈り後は剪定とお掃除。針金かけもOK
葉がなくなると枝がよく見えるので、長く伸び過ぎた枝を剪定。
葉があった場所を「節(ふし)」と呼びます。枝のポコっとした部分。
ここから新しい葉が出て、枝が再び出てくるので、節の上で切ります。
明らかに伸びている枝部分を剪定。もちろん、針金をかけてもOK。
二分かれの枝になっていた方がきれいに見えるので、枝が多すぎるところもスッキリ減らします。
[Before]
[After]
そして、根元を覆っていた苔と肥料も取り除きます。
苔はお化粧。実は育てる上ではなくても良いものです。
むしろ、苔が茂りすぎると、水分が多くなり根が上へ出てきてしまいます。
這い上がってくる苔は、せっかくの根元を隠し、湿っていると樹皮もきれいになりません。
しつこく這い上がってくる苔は、お酢の原液を塗ると枯れます。筆にとって塗ってみてくださいね。
葉刈りの後にやること「芽かき」と「芽摘み」
芽かき
葉刈り後、1週間ほどで二番芽が動き出します。
葉が開くのは2週間後くらい。
不必要な場所に出た芽は、ピンセットでかき取りましょう。
これが『芽かき」です。
枝分かれの部分はよく芽が吹きます。
ここの芽を放っておくと、枝になってゴツゴツの車枝になります。
芽のうちにかき取っておくことが、一番傷跡も残さずにきれいです。
ちなみに、芽かきは秋までずっと続きます。
モミジも枝を増やしたくて成長期はずっと芽を吹き続けますので、こちらも負けずにかき取り続けましょう。
*ちなみに、写真のモミジは上とは違うものです
芽摘み
さらに、芽が葉となり開き始めたら、次は伸び過ぎないように芽の先端を摘みとります。
先端を摘み取ると、もうそれ以上は伸びません。
さらに、その力は他の枝へ向かい、枝数が増えたり、弱い芽へ力が向かいます。
葉刈りをするときの注意点
1、葉刈りは元気のある樹に行います
葉刈りは樹に大きな負担をかけますので、元気であることが前提です。
葉色が黄色っぽかったり、元気がなければ無理に葉刈りしない方が良いです。
古い樹の場合も、葉刈りすると二番芽が吹かないので、『葉切り』でフトコロ芽の日当たり風通しを改善します。
2、葉刈りをして、二番芽が吹くものと吹かないものがあります。
葉もの盆栽で葉刈りを行う樹種は、主に、モミジ、カエデ、ケヤキです。
その他、例えば老鴉柿や梅も、葉刈りすれば二番芽は吹きます。
しかし、来年の花は付かなくなるので、『枝作り優先』と割り切って行います。
常緑樹では、クチナシも葉刈りします。
二番芽が吹かないもの・・・例えば、ブナなど
または、花もの、実もの盆栽で葉が大きく、茂り過ぎているもの
などは、『葉切り』で対応します。
葉切りは、葉の面積を小さくなるように切ることです。
桜の葉を面積を小さくしています。
桜は葉が大きくて水切れしやすいので、葉切りして面積を小さくすると蒸散量がおさえられます。葉の元には来年の花芽が(^^)守らねば。
3、葉刈り後に出る二番芽は、うどん粉病などにかかりやすく、葉焼けしやすいです
二番芽として出る葉は、先の葉よりも薄く弱い葉です。
樹に無理させて2回目の葉を出させているので弱くなるのは当然で、それにより枝の勢いを抑えています。
梅雨時期はうどん粉病が蔓延する時期。そして梅雨明けの日差しは強烈です。
殺菌剤を全体にスプレーして予防のバリアを張り、梅雨明け後は、半日陰で管理して葉焼けを防ぎましょう。
きれいな枝のほぐれを目指して
樹の成長期はやること沢山あります。
葉刈り、芽かき、芽摘み、剪定、針金かけ。ああ、目が回りそう(@_@)。
しかし、やればやるだけ、きれいな枝姿を見ることができます。
葉刈りは、成長を抑えることが目的でもあるので、大きく太ろうとする樹との攻防戦。
葉もの盆栽の繊細な枝のほぐれ具合(細かな枝が広がる様子)は、この地味な作業の積み重ねです。
その成果を観れるのは、落葉した冬。
「寒樹」と呼ばれる冬の姿は、厳しい寒さの中で佇む高原の大木のように、うっとりとする枝姿です。
(ケヤキ 2014年雅風展より:(公社)全日本小品盆栽協会主催)
ケヤキは樹勢が強くてすぐに枝が太りますから、葉刈りは欠かせません。
人の手が入ってこその美しい姿です。ああ、きれいですね〜。